『日本語の真実』(田中孝顕)

タミル語古事記日本書紀万葉集を読み解き、大野晋氏が提唱した「日本語タミル語起源説」を検証し、捕捉した研究書。
記紀神話には意味不明の言葉も少なくなく、研究者が牽強付会に訳をこじつけていたりする箇所もわりと多い。
あるいは神々の名前についても、妙に謎めいたややこしい名前が多いし、枕詞
にしても、意味や由来がわからないものが多々あったりする。
だがそれらも、その語源をタミル語に求めれば意味内容がすっきりすることがある。
  
昔、万葉集だったかを、朝鮮語で読み解くトンデモ本とかがあった覚えがあるけど。
本書はそういうのではなく、比較言語学の方法(音韻対応)を用いて、ちゃんと学術的に説明してある。
それでも「日本語タミル語起源説」を鼻から否定する立場の人から見れば、やはり本書はトンデモ本なのかもしれないけれど。
大野晋氏の著作が好きで、「日本語タミル語起源説」を全面的に信じたい者にとって、本書は良著。
 
日本語の起源については諸説あり、実際にいくつかの説を読んでもみたけど。
大野氏のファンという贔屓目を除外しても、タミル語に起源を求める説がいちばん説得力があって、個人的には受け入れやすいと思っている。

日本語の真実―タミル語で記紀、万葉集を読み解く

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