2007-01-01から1年間の記事一覧

『「のっぺら坊」と「てるてる坊主」』(松井栄一)

日常的に使われる「ことば」の語形、表記の変遷を、明治以降に記された様々な小説や評論等の多彩な文献を元に紹介していくエッセイ。 著者は国語辞典の編集等に携わった人。 たとえば「てるてる坊主」は、明治期の辞書では「てりてり坊主」の見出しで載って…

『数をめぐる50のミステリー 数学夜話』(ジョージ・G・スピロ)

著者はスイスのジャーナリスト。 本書は、新聞に掲載された数学のコラム50編をまとめたもの。 今世紀初頭(2002年〜2003年)に起きた数学界の出来事、話題、数学者のエピソードなどがテーマの中心になっていて、そこに幾つか古い話題も混ざっているといった…

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情報公開されたので、まずは紹介。 Finish! 『陵辱学園チアガールズ公開調教』 ・風香編(2007年12月14日発売) ・華恋編(2007年12月21日発売) ・和津美編(2007年12月28日発売) 低価格ソフトの連作3本セットです。 各編のヒロインのHシーンを数編、“…

『言語哲学入門』(服部裕幸)

タイトル通り、言語哲学の入門書。 「言語哲学」とは、“言語について考察を加える学問”であり“言語についての疑問に答えようとする営み”ということになるらしい。 いまいち漠然としているけど、まあなんというか、言語に関する問題のうち言語学では扱わない…

『オイディプス症候群』(笠井潔)

ハードカバーはどうにも手がでず、文庫に落ちたら読もうと思って待ってたら新書に落ちたので読了。 前作『哲学者の密室』より薄いとはいえ、この分厚さ(新書にして厚さ約4cm)。 登場人物らによる「語り」の要素を除けば、実質ミステリ部分は半分くらいに…

仕事情報

SKUNK WORKS 『蝕獣〜妹のおしり〜美羽編』 シナリオおよび世界&キャラ設定等、企画段階からの参加です。 実妹・触手モノ。 2007年12月21日発売予定。 システムソフト アルファー 『萌え萌え 2次大戦(略)』 シナリオ一部参加。 いうまでもなくこちらは一…

『日本語は天才である』(柳瀬尚紀)

ひらがなにカタカナ、漢字、ローマ字……と複数の文字を有し、外国の言葉も自在に「外来語」としてとりこめる日本語の面白さ、便利さ、凄さ、楽しさを綴ったエッセイ。 著者の柳瀬氏は英文学者で、ジェイムズ・ジョイスやロアルド・ダールの翻訳を手がける翻訳…

『迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか』(シャロン・モレアム)

進化とは本来、有害な遺伝子を淘汰して役に立つ遺伝子だけを残すもののはず。 なのに実際は、多くの病気の遺伝子が人に受け継がれてしまっている。 それはいったい何故なのか? ……という疑問に対する「仮説」を提言する科学解説本。 なぜ「仮説」なのかとい…

『役に立つ一次式』(今野浩)

タイトルだけだと中・高の数学参考書のようだけど。 本書のサブタイトルは『整数計画法「気まぐれな王女」の50年』。 「整数計画法」という応用数学の一分野がいかに生まれ、挫折と発展を経て現在に至ってるかを描くドキュメンタリー。 例によって数学的知識…

『翻訳者はウソをつく!』(福光潤)

翻訳に関するトリビアや裏話や業界事情などをエッセイ風に綴った新書。 それなりに興味深いテーマを扱っているんだけど、全般的にテキストが淡白というか内容が薄いというか……。 もうちょっと突っこんだ記述が欲しかった。 まあ、こんなもの。翻訳者はウソを…

『数学する遺伝子』(キース・デブリン)

人は程度の差こそあれ数学をする能力を持っている。 それは人が進化の過程で「言語の遺伝子」を獲得してきたように、「数学の遺伝子」も獲得してきたからだ。 ではなぜ人は「数学の遺伝子」を獲得する必要があったのか? その謎を解き明かす……というのが本書…

『詩の日本語』(大岡信)

・なぜ、ボードレールの原詩より日本語の訳詩の方が「むつかしい」言葉を使って訳されているのか。 ・なぜ、日本の詩歌は物や心の「うつろい」をうたう時、とりわけ精彩を発揮するのか。 ・なぜ、日本の文学批評は笑いや風刺や遊びの作品を低く見る傾向を持…

『なぜ上司とは、かくも理不尽なものなのか』(菊澤研宗)

ダメ上司ダメ組織はなぜダメなのかを解き明かす本。 上司も組織も「限定合理性」に従って行動するからダメになる云々と説明してあるけど。 要は「自分の都合」と「目先の利益」が優先だってだけの話で、書いてあるのはごくあたりまえのことばかり。 で、ダメ…

『クリティカルシンキング 不思議現象篇』

批判的思考(クリティカルシンキング)を習得するための教科書本。 サブタイトルにある通り、本書ではUFOや心霊現象、幽体離脱、幽霊、UMA、占星術、輪廻転生と死後の世界……等々の不思議現象が、批判的思考の対象。 巷にあふれる不思議現象をどう捉え…

『殺人喜劇の13人』(芦辺拓)

芦辺拓氏初読。 トリックてんこ盛りでなかなか内容は濃い。 二部構成になっていて、後半、探偵役が登場したとたん一気に解決編に突入していく強引さとかに、作者が本書を著したときの年代が想像できてしまう。 クセのあるガチャガチャした文体は好みの分かれ…

『ポアンカレ予想を解いた数学者』(ドナル・オシア)

ミレニアム問題のひとつ“ポアンカレ予想”が証明されるまでの歴史を描いた数学本。 "ポアンカレ予想"がどういうものか説明しようとすると、「単連結」「3次元閉多様体」「3次元球面」「同相」「測地線」「曲率」……等々、位相幾何学の専門用語の羅列になって…

『はじめてみよう言語学』(佐久間淳一)

タイトル通り言語学の入門書。 「タコ焼き」が「焼きタコ」でない理由とか、漢字廃止論の話とか、「ら抜き言葉」に代表される言葉の変化についてとか。 言葉に関する様々な疑問をわかりやすく解説。 生成文法とか語用論とか認知言語学とか、ひとえに言語学と…

『日本語とはどういう言語か』(石川九楊)

「言(はなしことば)」と「文(かきことば)」のふたつの視点から、表題通り“日本語”がどういう言葉なのかを捉える。 言語学的な観点とはまた異なる方向で論考されていて、新鮮。 三種の文字をもつ日本語の特殊性や、「美しき日本幻想」論、和語と漢語、孤…

『白骨の語り部』(鯨統一郎)

『ミステリ・オペラ』の後に読んだら、落差が……。 鯨統一郎氏のミステリは、キャラクターの造詣が軽いというのとは微妙ちがうけど、なんか妙で。 ネタやトリックは悪くないんだけれど、主人公の設定で失敗してる印象が拭えず。 あと、ヒロイン(?)の魅力の…

『ミステリ・オペラ 宿命城殺人事件』(山田正紀)

文庫版がでたら読もうと思っていたものの、つい買いそびれていて、最近ようやくGET。 著者が山田正紀氏で本格ミステリ大賞受賞作で、作品紹介に「本格探偵小説のあらゆるガジェットを投入」云々とあったら、それだけで期待は膨らむ。 読む前からこれだけ…

仕事情報

久々の仕事情報です。 蛇ノ道ハ蛇ソフト 『乳忍者2』 シナリオおよび世界&キャラ設定等、企画段階から参加させてもらってます。 お色気くの一コメディ? 前作同様のバカゲーテイストたっぷりで、楽しみながらシナリオ書いてます。 新ヒロインも登場で、乞…

『日本語の真実』(田中孝顕)

タミル語で古事記・日本書紀・万葉集を読み解き、大野晋氏が提唱した「日本語タミル語起源説」を検証し、捕捉した研究書。 記紀神話には意味不明の言葉も少なくなく、研究者が牽強付会に訳をこじつけていたりする箇所もわりと多い。 あるいは神々の名前につ…

『鏡リュウジの魔女入門』(鏡リュウジ)

現代魔女の系譜や思想などを概説した本。 いまならさしずめ、スピリチュアル本とでもいうところ? 仕事関係の資料として読んだだけ。 それなりに奥の深い世界だとは思うし、そういう世界もありだと思うし、学問的興味をもって、外から眺めてるぶんにはおもし…

『不可能犯罪捜査課』(ディクスン・カー)

カーの短編集。 短編はふだんほとんど読まないので、これもずっと未読のままで。 なんとなく読みたくなって、手にとったという感じ。 カーらしい雰囲気は全編にあふれてるものの、いまいち食い足りない。 トリックも全体的にイマイチ。 やっぱり、自分には長…

『日本の敬語論』(滝浦真人)

敬語の本。 といっても、「敬語」の使い方について説いた実用本ではなく、敬語「論」を扱った論文集。 ロドリゲス、チェンバレン、三橋要也、山田孝雄、時枝誠記、三上章、金田一京助等々……国学者、言語学者らの「敬語論」を紹介し、批判を加え、さらに「ポ…

『ヴォイニッチ写本の謎』(ゲリー・ケネディ&ロブ・チャーチル)

1912年に発見され、発見者の名を採って「ヴォイニッチ写本」と命名されたある書物についての謎解き解説書。 「ヴォイニッチ写本」の特異性は、奇妙奇天烈な多量の(あまり上手くない)イラストと、他に類を見ない不思議な文字によって記されていること(それ…

『日本の弓術』(オイゲン・ヘリゲル)

著者のオイゲン・ヘリゲル(1884−1955)は、ドイツの哲学者で、後に禅の研究に没頭した人物。 大正15年頃、来日して弓道の大家に師事、5年間の修行で5段の免状を経て帰国。 本書はそのヘイゲル氏が、帰国後ドイツで行った講演の原稿を翻訳したもの。 ちょ…

『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一)

「生命とはなにか」を追求する生物学の本。 名は知られてないが、淡々と「生命」について探求し続けた生物学者のエピソードとその研究成果。 あるいは、DNAの二重螺旋構造を“発見”したワトソンとクリックにまつわる、スキャンダルめいた逸話等を盛りこみ…

『魔術との出会い いま再びルネサンスを』(澤井繁男)

ルネサンス期における(白)魔術や錬金術、占星術の思想を説いた本。 数学者としても有名なカルダーノや、“魔術師”デッラ・ポルタの著述等をとりあげる。 自然を支配下に置こうとする父性原理のキリスト教と、アニミズムに基づく母性原理の<魔術>の対比が…

『QED 河童伝説』(高田崇史)

いつもの『QED』。 サブタイ通り今作は、全国に伝わる河童伝承をどう解釈していくかという話。 最後に到達する結論も、おおむねいつもとおなじ。 ただし今回はまだ「証明終わり」してないのが、微妙いつもとちがう。 このシリーズもいいかげんマンネリ化…