『大砲と帆船 ヨーロッパの世界制覇と技術革新』(C・M・チポラ)

近代以降、ヨーロッパが世界規模の覇権を打ち立てることができた原因を、「大砲」と「帆船」の発明と発展に絞りこんで解き明かしていく。
ただし言及の大半は「大砲」の方。
技術面を解説するのではなく、文化や社会、産業、流通、経済的側面からみた「大砲」の歴史存在を俯瞰、検証していく。
ヨーロッパのどの地方に「大砲」工場があったとか、輸入国と輸出国の関係だとか、「大砲」の取引価格、青銅砲と鉄製砲の違いとか、昔はスウェーデンが有数の軍需産業国だったとか、そんな話。
本書の5分の2が注釈という小論集ながら、よくまとまっていてわかりやすい。
 
中世までは、海戦といえば船同士が接舷移乗して斬り込み合うのが一般的だった。
それが大砲の発達とともに、帆船の方も砲撃戦に適したように改良されていった。
技術と戦術のいち早い革新が、覇権獲得の原動力になった、ということで。

大砲と帆船―ヨーロッパの世界制覇と技術革新

大砲と帆船―ヨーロッパの世界制覇と技術革新