『ポアンカレ予想を解いた数学者』(ドナル・オシア)

ミレニアム問題のひとつ“ポアンカレ予想”が証明されるまでの歴史を描いた数学本。
"ポアンカレ予想"がどういうものか説明しようとすると、「単連結」「3次元閉多様体」「3次元球面」「同相」「測地線」「曲率」……等々、位相幾何学の専門用語の羅列になってしまうため、素人にはなんのことやらさっぱり。
本書でもかなりのページを割いて説明されているのだけれど、二度ほど読み直しても、それでもやはりなにがなんだか。
とりあえず宇宙のあり得る形を断言するのに必要な証明だとかそういうことみたいだけれど、やっぱりよくわからない。
  
ユークリッドの平行線公準からリーマンの業績、ポアンカレによる位相幾何学の創始、様々な数学者によるポアンカレ予想への挑戦……と、証明にいたるまでの歴史が綴られていく。
フェルマーの最終定理”や“四色問題”等とおなじく、数学の難問が解決されるまでには数学者たちの様々なドラマがあって、それらエピソードが積み重なってひとつの証明へと繋がっていく。
"ポアンカレ予想"そのものはよくわからなくても、大河ドラマのようなその過程は充分面白く、読み応えはある。
 
なお"ポアンカレ予想"を証明したペレルマンが、2006年8月、フィールズ賞を辞退するというエピソードをもって、本書は終わる。
最後までドラマチック。

ポアンカレ予想を解いた数学者

ポアンカレ予想を解いた数学者